2011年9月12日月曜日

僕たちは強運の猫にちがいない

空ちゃん同様額のM柄
 僕にそっくりなキジトラ猫のスコット君がスタジオにやってきた。
ブログを読んできてくれたことが嬉しかったな。

 僕たちは、驚くほど顔が似ている。そればかりか、人間のパパ、ママとの出会い方も僕の境遇と酷似している。
 なんでもスコット君は腰を骨折した状態で住宅街に置き去りになっていて、カラスがびょんびょんと近づいて様子を伺っていたそうだ。それを見つけたパパ、ママが病院に連れて行ってくれたそうだ。家には犬が2匹いるからどうしようかと迷った末に、放っておけないと家族の一員に迎えてくれたそうだ。

 仔猫だったスコット君は、きっと僕と同じように哺乳瓶での授乳の苦労をかけたのだろうけど、大事に、大事に育てられていることが伝わってきて、僕は自分のことのように感動した。そして改めてお姉さんにも感謝した。

撮影中でも眠くなったら寝る大物ぶり
 危ない時に絶妙なタイミングで助けてくれる人と出会えたことは、僕たちは強運の猫にちがいない。

  「世の中には、運の良い犬猫ばかりいるわけじゃないのよ」とお姉さんが珍しく悲しい顔をした。

「だから空ちゃんも手伝ってね」と、すかさず檄を飛ばした。

左スコット君、右が僕、似てるでしょ
 お姉さんは僕をモデルに写真を撮り、それを手作りのポストカードにして販売することにしたんだ。幸せでない犬猫たちに手を差し伸べる愛護団体をほんの少しずつでも継続的に支援ができるようにって。わんにゃんスターフォトに来てくれる仲間たちの賛同もあり、最初の小さな思いが、だんだんかたちになりつつある。

 僕は、いつもの間抜けなお姉さんが今日はちょっとだけ違う人に見えた気がした。


2011年8月15日月曜日

猫じゃらしは、犬じゃらし


 僕の好きなおもちゃは、アルミホイルをまるめたボール、大きめの紙袋、ひも、それと何といっても猫じゃらしだ。
 
この前、撮影スタジオにペキニーズのぶなぴーちゃんがやってきた。暑いから、床にぺったりラッコのポーズが超キュート。
 もっと元気な写真も撮ろうねとばかり、お姉さんは僕の猫じゃらしのおもちゃで遊び始めた。

本物の猫じゃらしは、東京ではちょうど立秋のこの時期に道端のここそこで風に揺れている。本当の名前は『エノコロソウ』っていうらしい。
僕がうんちくを語っていたら、『エノコロ』って何?ってお姉さんが聞く。
もともとは仔犬のしっぽに似ているから『犬ころ草』といい、それが後に転じてエノコロ草となったそうだと僕は続けた。
「フフーン、だから犬のぶなぴーちゃんも楽しくじゃれたのね」とお姉さんはたいそうご満悦の様子だ。

なんだか歯磨きしてるみたい
「ところで空ちゃん、前から気になっていたんだけど、ご飯てんこ盛りの『てんこ』って何かしら」とお姉さんの次の質問が来たから、僕はすかさず眠ったふりをした。
楽しく、上手に写真が撮れるように、みんなそれぞれお気に入りのおもちゃを持ってきてね。

2011年7月20日水曜日

まぬけな話は、おいしい小噺

外でのボール遊びは暑すぎるとレオ君 
 それにしてもここのところ暑いよね。
毛皮を着ている僕たちは結構大変なんだ。散歩に出かける犬たちだって、昼間じゃ肉球が火傷しちゃうよね。

まったく、もう
 あれこれ忙しいお姉さんも暑さにかなりやられちゃったみたいで、帰ってくるなり僕にこんな話をした。

一方スタジオでは風船で大はしゃぎのジョルジュ君
 なんでも新宿駅の真ん中で、白人の女性が肩をトントンってたたくから、「ハハーン、道が聞きたいのねって」ってニッコリ笑って「yes」って振り返ったそうだ。
 そしたら「あなたの服さかさまです」って流暢な日本語で言われたと大笑いしている。そう、お姉さんは裏返しに服を着て出かけたのに、おいしい小噺になると上機嫌だから困っちゃう。

 そんな暑さの中でも、西新宿の高層ビル群に程近いお姉さんのスタジオは、地下だから、冬は暖かく、夏は涼しくて快適なんだ。来てくれた仲間たちは知っているけれど、スタジオは広いからドッグランのように走り回って遊べるよ。

2011年7月16日土曜日

「ニャーン」よりも「ワン」と鳴く

 写真を撮るには、コミュニケーションが一番だとお姉さんはいつも言っている。初対面でも緊張をさせないことが、プロの技のひとつなんだそうだ。

そのためのトレーニングなのかもしれないけれど、お姉さんは夜になって夕涼みに出てくる近所の猫たちともよく話している。


僕も犬の友達とコミュニケーション
『ニャーゴン』と呼ばれているのは、いつも塀の上にいる。『ニャンタ』というのは、やんちゃものでお姉さんが帰ってくるとどこからともなく出てきて、挨拶だけして去っていく。『ニャッキー』は一瞬僕の兄弟かと思うキジトラ猫。

どの子もお姉さんが「ニャ」から始まる適当に付けた名前を呼ばれると、とりあえず返事をするから笑っちゃう。だって僕はその子たちの飼い主がもっとおしゃれな他の名前で呼んでいるのを知っている。
暑くてやる気が出ないけど

楽しくなったらすぐ笑顔のフクちゃん
 お姉さんは猫派なのかと思っていたら、スタジオにやってくる犬たちともすぐに仲良しになっている。実は僕との突然の出会いの前は犬とも暮らしていたんだって。本物みたいな鳴き声も「ニャーン」よりも「ワン」の方がはるかに上手だったんだ。だからほら、暑くて不機嫌になってても、すぐに笑顔になっちゃうよ。

2011年7月11日月曜日

「チーズ」じゃなくて「ニャーン」

僕がカラスのくちばしで突かれて怪我をしていたのを見て、お姉さんは慌てて病院に連れて行ってくれた。僕がブルブル震えていたら、「大丈夫だと思えば大丈夫よ」って何度も励ましてくれた。 その時僕は、まだ人間の言葉が理解できなかったけれど、その声の迫力で励まされたことだけは確かだ。


元気になった僕に、お姉さんは人間に話すように話しかけてきた。ときには政治経済ネタだったりもした。その甲斐あってか、ほどなく人間の言葉が良く理解できるようになったけれど、そもそも生まれてすぐにママや兄弟からはぐれてしまったから、僕は猫の鳴き声すら聞いたことがなかったんだ。

だからお姉さんの方もその時学習したにちがいない。なぜって、本物みたいな猫の鳴き声で僕を呼ぶことができるようになったんだ。わんにゃんスターフォトに来た仲間のみんなは知ってるだろうけど、「チーズ」じゃなくて、「ニャーン」って言われると、思わずカメラを見ちゃうよね

2011年7月7日木曜日

ボクの名前は空

僕の名前は空。なぜ空って命名されたかって言うと、生まれて3日目くらいに空を飛んだことがあるからだ。だから僕は空を飛んだことのある猫なんだ。
ブログの初日だからもうちょっとだけ、僕の秘密を話しちゃうと、生まれたばかりで目も開いていない僕は、やんちゃなカラスにくわえられて、ずいぶん高い空を飛んだ。
気が付いたら知らない街の電線の上でカラスが一休みしたんだ。それが、今日ブログデビューする僕の運命を変えたんだ。

必死で悲鳴をあげた僕の声に気付いて、お姉さんが家から出てきた。そして大きな声でカラスに何か話しかけたんだ。あんまり大きな声だったので、カラスがびっくりして、急に飛び立ったもんだから、僕を落っことしたんだ。そして、びっくりすることにお姉さんが下で僕をキャッチした。

嘘のような話だけど、それが、僕とお姉さんの出会いだった。
そんな訳で、僕はお姉さんにちょっと恩返しをしてみようかと、ブログを引き受けたんだ。

初めは哺乳瓶では飲めなかった
お姉さんは写真を撮るのが仕事なんだ。僕を育てるのに2時間おきのミルクが大変だったと今もよく聞かされるけど、僕をこっそりリュックに入れて仕事現場に行ったそうで、僕は俳優さんや、モデルさんにずいぶん抱っこされた経験があるらしい。

お姉さんも、僕と出会ったことで絶対何かが変わったはずなんだ。そして、ずっとそのアイディアを温めて、わんにゃん撮影専門の会社を立ち上げた。それが、わんにゃんスターフォトなんだ。